7日目
7日目は、秋について。
秋という季節が一番好きなんだけど、毎年毎年、本気でセンチメンタルになる。秋好きなんだけど、本当に胸が苦しくてつらい。
多分、どれかの秋のことを毎年思い出してしまうからなのだと思う。心当たりは、中学生の時の秋。それでおそらく、2年生の秋。
その頃は、道に面した1人部屋を割り当ててもらっていて、私は学校から家が徒歩5分以内という近さだったから、部活のない日、夕方明るいうちに帰って部屋にいる頃には、学生がぞろぞろ帰っている風景をぼんやり見ていることがあった。
ある日、そんなように窓辺の椅子に座っている時に
当時めちゃくちゃに恋に落ちてた人から
「もうマフラーなんかしてる女子がいるよ」
みたいなどうでもいいメールが来たのが嬉しくて、私も寒いから明日からマフラーしようかなとか返信して。
その時の、たくさんの中学生がおしゃべりしながら通り過ぎてく、道路に響く音とか、パカッと開くケータイの分厚さとか、メールを凝視してなんて返そうかななんて悩んでた感じとかが、懐かしいんだと思う。
あと同じ頃に、自転車で鬼ごっこしてた時、ふと見た空がとっても綺麗な秋晴れで、それもすごく良く覚えてる。少し雲があってね。
ーそういえば、冬だって切ない。
冬と言えば、寒い朝に窓を開けて、お母さんがほこりたたきで掃除をしてるあの日。これも中学生の時。部屋にもキリッとした空気が押し寄せるように入って来て、その時私の部屋にあったステレオで、Mr.Childrenの「しるし」を流す。HOMEというアルバムをずっと聴いていた時期で、ちゃんとCDから音を流していたっけ。その頃、ドラマ14歳の母を見ていたんだったな。
あとは、大学生になって、飲み会のあと終電で最寄り駅まで帰って、1人で家まで歩いたあの日。とてつもなく寒い夜で、でも着込むのが大好きな私は顔の母だけが凍てつくように冷たくて、シーンという音を感じながら歩いていた。上を見たら、星が見えたな。もふもふのモッズコートを着ていたね。それから、真冬の深夜が大好きになった。
思い返して見ると
春と夏は、不思議とそこまで鮮烈に思い出すエピソードがない。
温かい、暑い、よりも、涼しい、冷たい、という感覚の方が強く感じる体質だからなのだろうか。
とにかく、これから襲ってくる
秋のセンチメンタルに備えて
呼吸を整えようじゃないか。